交叉咬合矯正 | 新宿の矯正歯科

交叉咬合を放置すると、顔面の非対称や顎関節症のリスクがあるため、治療をお勧めします。

交叉咬合(こうさこうごう)とは、上下の歯の横方向の位置関係が逆になっている状態です。正常であれば上の歯が下の歯の外側にありますが、交叉咬合では一部または全体が内側に入り込んでいます。この状態を放置すると、(1)顔面の非対称(顔の歪み)が進行する、(2)顎関節に偏った負担がかかり顎関節症を引き起こす、(3)偏った噛み方により歯の摩耗が進む、(4)顎の成長に悪影響を及ぼす、などの問題が生じます。

特に子供の場合、交叉咬合があると、噛みやすい方向に下顎をずらして噛むようになります。この習慣が続くと、顎の骨が非対称に成長してしまい、顔の歪みが固定されてしまいます。成長期に治療することで、顎の成長を正常に導くことができます。

成人の場合でも、顎関節への負担や歯の摩耗を防ぐために治療が推奨されます。交叉咬合の程度が軽度であっても、将来的な問題を予防するために早めの治療をおすすめします。まずは矯正専門医に相談し、治療の必要性について確認しましょう。

症例により異なりますが、動的治療期間は2~4年程度です。成長期の治療では期間が短縮されることがあります。

交叉咬合の治療期間は、交叉咬合のタイプ(前歯部か臼歯部か、片側か両側か)、原因(歯性か骨格性か)、年齢、全体的な歯並びの状態などによって異なります。軽度の歯性交叉咬合で、拡大治療のみで対応できる場合は、1~2年程度で治療が完了することもあります。全体的な歯並びの治療が必要な場合は、2~3年程度かかります。

成長期(6~12歳頃)に治療を開始する場合、顎の成長を利用した治療が可能で、比較的短期間で効果的に改善できることがあります。急速拡大装置などを使用して上顎を広げることで、数ヶ月~1年程度で交叉咬合を改善できることもあります。

成人の場合、骨格的な問題が大きい場合は、外科矯正治療が必要になることがあります。外科矯正治療の場合、全体の治療期間は3~4年程度です。具体的な治療期間については、精密検査を行った後に詳しくご説明します。早期治療により、治療期間を短縮できる可能性がありますので、気になる場合は早めにご相談ください。

拡大装置使用時や装置装着後に軽度の痛みや違和感がありますが、徐々に慣れていきます。

交叉咬合の治療では、上顎または下顎を横方向に拡大する装置(拡大床、急速拡大装置など)を使用することがあります。拡大装置を調整する際には、歯や顎の骨に横方向の力がかかるため、圧迫感や違和感を感じることがあります。特に急速拡大装置を使用する場合、調整直後は強めの圧迫感がありますが、通常は数日で慣れてきます。

また、マルチブラケット装置(歯に装置をつけてワイヤーで歯を動かす装置)を使用する場合も、装置装着直後や調整後に痛みや違和感を感じることがあります。ただし、交叉咬合の治療における痛みは、他の不正咬合の治療と同程度で、多くの方は市販の鎮痛剤なしでも耐えられる程度です。

痛みの感じ方には個人差がありますが、一般的には2~3日程度で軽減していきます。この期間は、柔らかい食事を選ぶことをおすすめします。痛みが強い場合や長期間続く場合は、装置の調整が必要な可能性がありますので、担当医に相談してください。

歯性の問題による軽度の非対称は改善されますが、骨格性の問題が大きい場合は外科治療が必要です。

交叉咬合により、噛みやすい方向に下顎をずらして噛む習慣がつくと、顔面の非対称(左右の歪み)が生じます。この非対称には、(1)機能性の非対称(習慣的に顎をずらしているだけ)と、(2)骨格性の非対称(顎の骨自体が非対称に成長している)があります。

機能性の非対称や、歯性の交叉咬合による軽度の非対称であれば、矯正治療により改善できます。交叉咬合を治療して正しい噛み合わせにすることで、下顎を正しい位置で噛めるようになり、顔の歪みが改善されます。特に成長期の子供の場合、早期に治療することで、顎の骨が非対称に成長するのを防ぎ、顔の歪みを予防できます。

ただし、骨格性の非対称が大きい場合は、矯正治療のみでは限界があり、外科矯正治療(顎矯正手術と矯正治療の組み合わせ)が必要になることがあります。外科矯正治療により、顎の骨の位置を左右対称に整えることができます。どの程度改善できるかは、精密検査で判断しますので、まずはご相談ください。

年齢に関係なく治療可能です。ただし、骨格的な問題が大きい場合は外科矯正治療を検討します。

矯正治療は、歯と歯茎が健康であれば何歳からでも可能です。成人の方でも、交叉咬合を改善して正常な噛み合わせと左右対称な顔貌を獲得できます。交叉咬合により、偏った噛み方や顎関節の問題がある場合、治療によりこれらの問題を改善し、口腔機能を向上させることができます。

成人の場合、歯性の交叉咬合(歯の傾斜や位置の問題)であれば、矯正治療のみで改善できます。ただし、成人は顎の骨が成長し終わっているため、骨格を広げる治療には限界があります。拡大装置を使用しても、子供ほどの効果は得られません。

骨格性の交叉咬合で、顎の骨の左右差が大きい場合は、外科矯正治療が必要になることがあります。外科矯正治療では、顎の骨を切って左右対称に整える手術を行います。健康保険が適用されますので、費用面での負担は軽減されます。

成人の交叉咬合治療は可能ですので、諦めずにご相談ください。まずは精密検査を受けて、ご自身の交叉咬合のタイプと最適な治療法を確認することをおすすめします。

交叉咬合は早期治療が有効です。6歳頃からの治療開始をお勧めします。

交叉咬合は、早期に発見して治療することが非常に重要です。永久歯の前歯が生え始める6歳頃から治療を開始することで、顎の成長を正常に導き、顔面の非対称を予防できます。早期治療のメリットは、(1)顎の成長を利用できる、(2)簡単な装置で効果的に治療できる、(3)顔の歪みの進行を防げる、(4)治療期間が短い、などがあります。

乳歯列期(3~6歳頃)にすでに交叉咬合がある場合は、その時点で矯正専門医に相談することをおすすめします。乳歯の段階で交叉咬合を改善することで、永久歯の交叉咬合を予防できることもあります。

交叉咬合の早期治療では、拡大床や急速拡大装置などの取り外し式または固定式の装置を使用します。上顎を横方向に広げることで、交叉咬合を改善します。治療期間は6ヶ月~2年程度で、比較的短期間で効果が得られます。

お子さんの歯並びで気になることがあれば、早めに矯正専門医に相談しましょう。定期的なチェックを受けることで、適切な治療開始時期を逃さずに済みます。早期治療により、お子さんの健やかな成長をサポートできます。

軽度の歯性交叉咬合であれば裏側矯正やマウスピース型矯正が可能ですが、拡大治療が必要な場合は通常の装置が適しています。

軽度の交叉咬合で、歯の傾斜を調整するだけで改善できる場合は、裏側矯正やマウスピース型矯正での治療が可能な場合があります。特に、前歯部の軽度な交叉咬合であれば、これらの装置で対応できることがあります。

ただし、顎を横方向に拡大する治療が必要な場合は、通常の表側装置や拡大装置(拡大床、急速拡大装置など)を使用することが多いです。拡大装置は、上顎の骨に固定して横方向の力をかける装置で、裏側矯正やマウスピース型矯正では同等の効果を得ることが困難です。

成長期の子供の場合、急速拡大装置などの固定式装置を使用することが一般的です。この装置は上顎の裏側(口蓋部)に固定するため、外からは見えませんが、いわゆる「裏側矯正」とは異なります。

見えない矯正が可能かどうかは、交叉咬合のタイプ、程度、年齢などによって異なります。精密検査を行って、最適な治療法をご提案します。見た目が気になる場合でも、治療方法について様々な選択肢がありますので、まずはご相談ください。

交叉咬合には確かに後戻りのリスクがありますが、適切な保定により防ぐことができます。

交叉咬合の治療、特に拡大治療を行った場合、治療後に元の状態に戻ろうとする力が働きます。横方向に広げた顎の骨や歯は、元の位置に戻ろうとする性質があるためです。そのため、交叉咬合は後戻りしやすい不正咬合の一つと言われています。

後戻りを防ぐためには、保定装置(リテーナー)の適切な使用が非常に重要です。交叉咬合の治療後は、取り外し式のリテーナーや、歯の裏側に固定するワイヤータイプのリテーナーを使用します。治療終了後、最初の1~2年は1日中(食事と歯磨き以外)装着し、その後は夜間のみの装着に移行するのが一般的です。

特に拡大治療を行った場合は、保定期間を長めに設定することがあります。拡大した状態を安定させるには時間がかかるためです。また、舌で歯を押す癖などがある場合は、MFT(口腔筋機能療法)で癖を改善することも重要です。

保定装置を指示通りに使用し、定期的なチェックを受けることで、治療結果を長期的に維持することができます。保定は矯正治療の一部ですので、しっかり継続しましょう。

拡大治療により一時的に前歯に隙間ができますが、その後の治療で確実に閉鎖されます。

交叉咬合の治療で、急速拡大装置や拡大床などを使用して上顎を横方向に広げると、一時的に前歯の真ん中(正中)に隙間ができます。これは、上顎の骨が左右に広がることで、前歯が離れるためです。「すきっ歯になってしまうのでは?」と心配される方も多いですが、この隙間は一時的なものですので、ご安心ください。

拡大治療後、数ヶ月の保定期間を経て、マルチブラケット装置(歯に装置をつけてワイヤーで歯を動かす装置)を使用して全体的な歯並びを整えます。この段階で、前歯の隙間を閉じていきます。隙間が閉じるまでの期間は、隙間の大きさによりますが、通常は数ヶ月~1年程度です。

隙間ができている期間は、見た目が気になるかもしれませんが、治療の過程として必要なステップです。最終的には、隙間は完全に閉じて、きれいな歯並びになりますので、ご安心ください。治療の各段階について、担当医から詳しい説明がありますので、不安なことがあれば遠慮なく質問してください。

交叉咬合には遺伝的要因が関与することがありますが、環境的要因も大きく影響します。

交叉咬合の原因として、遺伝的要因があります。顎の骨格の大きさや形、歯の大きさなどは遺伝的に決まる部分が大きく、ご両親やご家族に交叉咬合の方がいると、お子さんも交叉咬合になる可能性が高くなります。特に、上顎が狭い、下顎が広いなどの骨格的な特徴は遺伝しやすいです。

一方、環境的要因も交叉咬合の原因になります。例えば、(1)口呼吸(鼻呼吸ができず口で呼吸する習慣)、(2)指しゃぶり、(3)頬杖をつく癖、(4)舌で歯を押す癖、(5)片側だけで噛む習慣、などの後天的な要因により交叉咬合になることがあります。特に、口呼吸は上顎の成長に悪影響を及ぼし、上顎が狭くなって交叉咬合の原因となります。

ご家族に交叉咬合の方がいる場合でも、環境的要因に注意することで、交叉咬合を予防したり、軽度に抑えたりすることができます。口呼吸を改善して鼻呼吸を習慣づける、悪い癖を改善する、両側の歯でバランスよく噛むなどが重要です。お子さんの歯並びや噛み合わせが気になる場合は、早めに矯正専門医に相談し、定期的なチェックを受けることをおすすめします。

顔面の非対称や顎関節症のリスクが高まります。早期治療が非常に重要です。

子供の交叉咬合を放置すると、様々な問題が生じます。最も大きな問題は、顔面の非対称(顔の歪み)が進行することです。交叉咬合があると、噛みやすい方向に下顎をずらして噛む習慣がつきます。この習慣が続くと、顎の骨が非対称に成長してしまい、顔の歪みが固定されてしまいます。一度骨格的に歪んでしまうと、矯正治療だけでは改善が難しく、外科矯正治療が必要になることがあります。

また、偏った噛み方により、片側の顎関節に過度な負担がかかります。これにより、将来的に顎関節症(顎の痛み、口が開けにくい、音がするなど)を発症するリスクが高まります。さらに、片側の歯だけで噛むことで、歯の摩耗が偏ったり、虫歯や歯周病のリスクが高まったりすることもあります。

成長期の子供の場合、早期に交叉咬合を治療することで、これらの問題を予防できます。顎の成長を正常に導き、左右対称な顔貌を獲得できます。お子さんの交叉咬合に気づいたら、できるだけ早く矯正専門医に相談することを強くおすすめします。

硬い物や粘着性の高い食べ物は避けていただきます。これは一般的な矯正治療と同様の注意事項です。

矯正治療中は、装置が壊れたり外れたりするのを防ぐため、いくつかの食べ物を避ける必要があります。硬い食べ物(おせんべい、ナッツ類、氷、硬いパン、りんごの丸かじりなど)は、装置に強い力がかかるため控えてください。粘着性の高い食べ物(キャラメル、ガム、お餅など)は、装置に絡みついて取れにくくなったり、装置が外れたりする原因になります。

特に、拡大装置を使用している場合は、装置が上顎の口蓋部(上顎の裏側)に固定されているため、硬い物を噛むと装置が壊れる可能性があります。また、装置に食べ物が詰まりやすいため、食後の清掃をしっかり行うことが重要です。

装置装着直後や調整後は、痛みや違和感があるため、柔らかい食事(おかゆ、うどん、スープ、ヨーグルトなど)を選ぶことをおすすめします。徐々に慣れてきたら、通常の食事に戻すことができます。食事の制限は一時的なものですので、治療のために協力をお願いします。

拡大時に圧迫感や違和感がありますが、数日で慣れることがほとんどです。

急速拡大装置は、上顎の口蓋部(上顎の裏側)に固定し、中央のネジを回すことで上顎を横方向に広げる装置です。ネジを回すと、上顎の骨に横方向の力がかかるため、圧迫感や違和感、軽い痛みを感じることがあります。特に、拡大開始直後の数日間は、圧迫感が強く感じられることがあります。

ただし、多くの方は数日で慣れ、痛みや違和感は軽減していきます。急速拡大は、通常1~2週間程度の期間で行われ、その後は数ヶ月の保定期間(広げた状態を維持する期間)に入ります。保定期間中は、新たな力はかからないため、痛みはほとんどありません。

拡大時の痛みが心配な場合は、市販の鎮痛剤を使用することもできます。また、拡大のペースを調整することで、痛みを軽減することも可能です。痛みが強い場合や長期間続く場合は、担当医に相談してください。

急速拡大は、成長期の子供に非常に効果的な治療法です。短期間で交叉咬合を改善でき、顔の歪みを予防できます。一時的な違和感はありますが、治療のメリットは大きいです。

正常な噛み合わせにすることで、顎関節への負担が軽減され、顎関節症の改善が期待できます。

交叉咬合では、偏った噛み方により、片側の顎関節に過度な負担がかかります。この状態が続くと、顎関節症(顎の痛み、口が開けにくい、音がするなど)を引き起こすことがあります。また、顎関節への負担により、頭痛や肩こりなどの症状が出ることもあります。

矯正治療により交叉咬合を改善し、正常な噛み合わせにすることで、左右の顎関節に均等に力がかかるようになります。その結果、顎関節への負担が軽減され、顎関節症の症状が改善されることが期待できます。下顎を正しい位置で噛めるようになることで、顎関節や周囲の筋肉の緊張が和らぎます。

ただし、顎関節症の原因は複雑で、噛み合わせだけが原因ではない場合もあります。ストレス、歯ぎしり、食いしばり、悪い姿勢なども関与していることがあります。顎関節症の症状がある場合は、矯正治療と並行して、理学療法やスプリント療法(マウスピースを使った治療)などを行うこともあります。まずは診察を受けて、顎関節症の原因と最適な治療法について相談することをおすすめします。