ワイヤー矯正とは?
ワイヤー矯正とは
ワイヤー矯正とは、歯にブラケットという小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を移動させる最も伝統的で確実性の高い矯正治療法です。
「マルチブラケット装置」「固定式装置」とも呼ばれ、100年以上の歴史を持つ実績ある治療法です。
あらゆる症例に対応可能で、軽度から重度まで幅広い歯並びの問題を根本的に解決できます。
世界中の矯正歯科医に最も信頼されている矯正治療の基準となる方法です。

このような方に向いています
確実で予知性の高い治療を希望される方
重度の歯並びの乱れがある方
抜歯を伴う本格的な矯正が必要な方
複雑な歯の移動が必要な方
自己管理に不安のある方
咬合機能の改善を重視される方
最も実績のある治療法を選びたい方

このような方には注意が必要です
装置が目立つことに強い抵抗がある方
金属アレルギーのある方(装置による)
管楽器演奏者の方
激しいスポーツをされる方
口内炎ができやすい方
歯磨きが苦手な方

治療の特徴
ワイヤー矯正の特徴は次のとおりです。
最も確実で予知性の高い治療結果
あらゆる症例に対応可能
豊富な治療実績と信頼性
複雑な歯の移動も可能
咬合機能の根本的改善
矯正医の技術力を最大限発揮
ワイヤー矯正の種類
01.メタルブラケット
最も一般的なステンレス製のブラケットです。
丈夫で壊れにくく、あらゆる症例に対応できる最もスタンダードな装置です。
02.セラミックブラケット
歯の色に近い白色や透明のセラミック製ブラケットです。
メタルブラケットより目立ちにくく、審美性を重視する方に適しています。
03.セルフライゲーションブラケット
ワイヤーを固定するゴムが不要な特殊なブラケットです。
摩擦が少なく効率的な歯の移動が可能で、治療期間の短縮が期待できます。
04.ホワイトワイヤー
白くコーティングされたワイヤーです。
セラミックブラケットと組み合わせることで、より目立ちにくい治療が実現します。
05.カラーゴム
ブラケットに装着するゴムに色を付けることができます。 お子さまの治療のモチベーション向上に効果的です。
治療方法の選択
- 1
叢生(でこぼこ・八重歯)
-
軽度から重度まであらゆる叢生に対応可能です。
抜歯を伴う重度の症例でも確実な治療結果が得られます。
- 2
上顎前突(出っ歯)
-
骨格性、歯性を問わず幅広い上顎前突の改善に効果的です。
抜歯や顎間ゴムを併用した本格的な改善が可能です。
- 3
下顎前突(受け口)
-
軽度から中等度の下顎前突の治療に適応があります。
成長期であれば骨格的な改善も期待できます。
- 4
開咬
-
前歯で咬めない開咬の根本的な改善に最も効果的です。
舌癖の改善指導と併用することで安定した結果が得られます。
- 5
過蓋咬合
-
深い咬み合わせの改善に優れた効果を発揮します。
複雑な歯の移動により理想的な被蓋関係を獲得できます。
- 6
空隙歯列(すきっ歯)
-
歯と歯の間の隙間を確実に閉鎖します。
大きな隙間や複数の隙間がある症例でも対応可能です。
- 7
埋伏歯の牽引
-
埋まったままの歯を引っ張り出す治療に適応があります。 外科手術と組み合わせた高度な治療が可能です。
ワイヤー矯正の治療メカニズム
ブラケットの役割
各歯に接着されたブラケットが歯の移動方向を制御します。
精密に計算された角度により、理想的な歯の位置に誘導します。
ワイヤーの役割
ブラケットに通されたワイヤーが歯に持続的な力を加えます。
段階的に太いワイヤーに交換することで効率的な歯の移動を実現します。
弾性ゴムの役割
ブラケットとワイヤーを固定し、追加的な力をかけます。
色付きゴムにより治療のモチベーション向上も図れます。
顎間ゴムの役割
上下の歯列間にかけるゴムにより咬み合わせを改善します。
患者さまの協力により治療効果が大きく左右されます。
治療におけるリスク・副作用
※ブラケット装着時や調整後に痛みや違和感が数日間生じることがあります。
※装置により口内炎ができやすくなることがあります。
※歯磨きが困難になり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
※硬い食べ物でブラケットが外れることがあります。
※歯の移動に伴い歯根吸収が起こることがあります。
※治療中・治療後に顎関節症状が現れることがあります。
※歯肉退縮が起こることがあります。
※治療期間が予定より延長することがあります。
※保定を怠ると後戻りのリスクがあります。
ワイヤー矯正の相談事例集
ワイヤー矯正はどの程度目立ちますか?
メタルブラケット(金属製の装置)は目立ちますが、セラミックブラケット(白い装置)なら比較的目立ちません。
ワイヤー矯正では、歯の表面にブラケットという小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かします。従来の金属製ブラケットは銀色で目立つため、「矯正している」ことが一目でわかります。ただし、金属製は強度が高く、治療効果が確実で、破損しにくいというメリットがあります。
見た目が気になる方には、セラミックブラケットがおすすめです。歯の色に近い白色や透明な素材を使用しているため、金属製に比べて目立ちにくくなります。さらに、白いワイヤー(審美ワイヤー)を組み合わせることで、より目立たなくなります。接客業の方や人前に出る機会が多い方に人気です。
ただし、セラミックブラケットは金属製に比べてやや厚みがあり、破損しやすい場合があります。また、治療の最終段階では、しっかりした力をかけるために金属製ワイヤーを使用することがあります。どちらのブラケットが適しているかは、症状やライフスタイルによって異なりますので、担当医と相談して決定しましょう。
ワイヤー矯正の治療中の痛みはどの程度ですか?
調整後2~3日間は軽度から中等度の痛みがありますが、徐々に慣れていきます。多くの方は市販の鎮痛剤で対応できる程度です。
ワイヤー矯正では、月1回程度の来院時にワイヤーを調整し、歯に力をかけて移動させます。調整後は、歯に力がかかるため痛みや違和感を感じることがあります。痛みの程度は個人差がありますが、「歯が浮いた感じ」「鈍い痛み」「噛むと痛い」などと表現されます。
痛みは、調整後2~3日がピークで、その後は徐々に軽減していきます。1週間程度で痛みはほとんどなくなり、通常の食事ができるようになります。痛みがある期間は、柔らかい食事(おかゆ、うどん、スープ、ヨーグルトなど)を選ぶことをおすすめします。痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤(イブプロフェンやアセトアミノフェン)を服用することで、痛みをコントロールできます。
また、ブラケットやワイヤーが頬や唇に当たって口内炎ができることがあります。この場合、専用のワックスを装置に貼り付けることで、粘膜を保護できます。初めは違和感がありますが、2~3週間で口の中が慣れてきます。痛みが長期間続く場合は、担当医に相談してください。
ワイヤー矯正中に食事制限はありますか?
硬い物や粘着性の高い食べ物は避けていただきます。装置が壊れたり外れたりするのを防ぐためです。
ワイヤー矯正中は、装置を保護するために、いくつかの食べ物を避ける必要があります。硬い食べ物(おせんべい、ナッツ類、氷、硬いパン、りんごの丸かじり、フランスパン、硬いお肉など)は、ブラケットが外れたりワイヤーが曲がったりする原因になります。前歯で噛み切る必要がある食べ物は、小さく切ってから奥歯で噛むようにしてください。
粘着性の高い食べ物(キャラメル、ガム、お餅、グミ、ヌガーなど)は、装置に絡みついて取れにくくなったり、装置を引っ張って外したりする原因になります。また、装置の周りに食べカスが残りやすく、虫歯のリスクも高まります。
その他、繊維質の多い食べ物(ほうれん草、えのきなど)は装置に絡まりやすく、色の濃い食べ物(カレー、ミートソースなど)は、白いセラミックブラケットやゴムが着色する原因になります。
装置装着直後や調整後は、痛みがあるため、より柔らかい食事を選ぶことをおすすめします。食事の制限は一時的なものですが、装置を守るために協力をお願いします。
ワイヤー矯正中の歯磨きは普通にできますか?
専用の歯ブラシや補助器具を使用した特別な清掃方法が必要です。丁寧なブラッシングが虫歯予防に重要です。
ワイヤー矯正中は、ブラケットやワイヤーの周りに食べカスや歯垢(プラーク)が溜まりやすくなります。通常の歯ブラシだけでは清掃が不十分で、虫歯や歯周病のリスクが高まります。そのため、特別な清掃方法が必要です。
清掃に必要な器具としては、(1)矯正用歯ブラシ(ヘッドが小さく毛先が細い)、(2)ワンタフトブラシ(毛束が一つの小さな歯ブラシ)、(3)歯間ブラシ、(4)デンタルフロス(装置の下を通すための専用のフロス)、(5)洗口液、などがあります。これらを組み合わせて、1日3回、毎食後に丁寧に磨くことが重要です。
清掃方法としては、まず矯正用歯ブラシでブラケットの上下とワイヤーの周りを丁寧に磨きます。次に、ワンタフトブラシでブラケットと歯の境目を1本ずつ磨きます。さらに、歯間ブラシやフロスで歯と歯の間を清掃します。最後に洗口液でうがいをします。
清掃には時間がかかりますが(1回10~15分程度)、虫歯を予防するために非常に重要です。装着時に詳しい清掃方法を指導しますので、しっかり実践してください。
ワイヤー矯正の治療期間はどの程度ですか?
症例により1~3年程度です。歯並びの複雑さや治療目標によって期間が変わります。
ワイヤー矯正の治療期間は、動的治療期間(歯を動かす期間)と保定期間(後戻りを防ぐ期間)に分かれます。動的治療期間は、症状の複雑さによって異なりますが、一般的に1~3年程度です。軽度な歯並びの乱れであれば1~1.5年程度、中等度であれば1.5~2.5年程度、重度の複雑な症例では2.5~3年程度かかります。
治療期間に影響する要因としては、(1)歯並びの複雑さ、(2)抜歯の有無、(3)骨格的な問題の程度、(4)歯の移動距離、(5)年齢、(6)患者さまの協力度(装置の使用、来院頻度など)、があります。複雑な症例ほど、精密な歯の移動が必要となり、期間が長くなります。
動的治療終了後は、保定期間が2年以上必要です。保定装置を使用して、動かした歯が元に戻らないように固定します。保定は矯正治療の重要な一部ですので、指示通りに継続することが大切です。
具体的な治療期間については、精密検査を行った後に詳しくご説明します。治療計画を立てる際に、大切なイベント(結婚式、就職など)に合わせたスケジュール調整も可能ですので、ご相談ください。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正の違いは何ですか?
ワイヤー矯正は適応範囲が広く、確実性が高いことが特徴です。複雑な歯の移動にも対応できます。
ワイヤー矯正とマウスピース型矯正の主な違いは、以下の通りです。ワイヤー矯正は、(1)ほぼすべての症例に対応できる、(2)複雑な歯の移動(回転、圧下、挺出など)が可能、(3)治療効果が確実、(4)患者さまの協力度に左右されにくい、(5)装置を外せないため、確実に力がかかる、などのメリットがあります。
一方、デメリットとしては、(1)装置が目立つ(ただしセラミックブラケットで改善可能)、(2)食事や歯磨きがやや不便、(3)口内炎ができやすい、(4)装置を外せない、などがあります。
マウスピース型矯正は、(1)目立たない、(2)取り外しができて食事や歯磨きが快適、(3)口内炎ができにくい、などのメリットがありますが、(1)適応症例が限られる、(2)1日20時間以上の装着が必要、(3)装着時間を守らないと効果が出ない、(4)複雑な歯の移動には不向き、などのデメリットがあります。
どちらが適しているかは、症状、治療目標、ライフスタイルによって異なります。まずは診察を受けて、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で選択することをおすすめします。
金属アレルギーでもワイヤー矯正はできますか?
セラミックブラケットやチタン製ワイヤーを使用することで対応可能です。金属アレルギーのある方でも治療できます。
ワイヤー矯正で使用するブラケットやワイヤーは、通常、ステンレススチールやニッケルクロム合金などの金属製です。金属アレルギーのある方は、これらの金属に反応して、口内炎、発疹、かゆみなどの症状が出ることがあります。
金属アレルギーがある、または心配な方には、以下の対応が可能です。(1)セラミックブラケット(金属を含まない陶器製の装置)を使用する、(2)チタン製またはゴールド製のワイヤーを使用する(チタンはアレルギー反応を起こしにくい)、(3)プラスチック製ブラケットを使用する(ただし強度が低い)、などです。
金属アレルギーの既往がある方は、治療開始前に皮膚科や歯科大学付属病院などで金属アレルギー検査(パッチテスト)を受けることをおすすめします。どの金属にアレルギーがあるかを特定することで、安全な材料を選択できます。
チタンは非常にアレルギー反応を起こしにくい金属として知られており、人工関節や歯科インプラントにも使用されています。金属アレルギーがある方でも、適切な材料を選択することで安全に治療できますので、事前にご相談ください。
大人になってからでもワイヤー矯正は効果がありますか?
年齢に関係なく治療可能です。ただし、成人では子供に比べて治療期間が長くなる傾向があります。
ワイヤー矯正は、歯と歯茎が健康であれば何歳からでも可能です。成人の方でも、矯正治療により美しい歯並びと正常な噛み合わせを獲得できます。実際、最近では成人の矯正治療を受ける方が増えており、30代、40代、50代以降の方も多くいらっしゃいます。
成人の矯正治療の特徴としては、(1)骨の代謝が緩やかなため、歯の移動に時間がかかる、(2)歯周病がある場合は先に治療が必要、(3)顎の成長が完了しているため、骨格的な問題には限界がある、(4)治療への協力が得られやすく、装置の管理がしっかりできる、(5)治療に対するモチベーションが高い、などがあります。
成人でも治療効果に大きな差はありませんが、子供に比べて治療期間が数ヶ月~半年程度長くなることがあります。また、歯周病がある場合は、矯正治療前に歯周病治療を行い、治療中も定期的なメンテナンスが必要です。
見た目を気にされる成人の方には、セラミックブラケットや裏側矯正など、目立ちにくい治療法もあります。何歳からでも、健康で美しい歯並びを手に入れることは可能ですので、諦めずにご相談ください。
ワイヤー矯正で抜歯は必ず必要ですか?
歯並びの状態により判断します。重度の叢生(ガタガタ)や出っ歯では抜歯が必要な場合がありますが、すべての症例で必要なわけではありません。
抜歯が必要かどうかは、(1)歯並びの乱れの程度、(2)顎のスペースの不足量、(3)口元の突出感、(4)上下の顎のバランス、(5)患者さまの希望、などを総合的に判断して決定します。軽度な歯並びの乱れで、顎にスペースがある場合は、非抜歯で治療できることが多いです。
抜歯が推奨される場合としては、(1)重度の叢生(歯が重なって生えている)でスペースが大幅に不足している、(2)口元の突出が強く、審美的改善を希望する、(3)上下の顎のバランスが悪い、(4)前歯の角度が悪く、大きく動かす必要がある、などがあります。通常、小臼歯(前から4番目または5番目の歯)を抜歯します。
非抜歯で治療する場合は、(1)歯列を横方向に広げる、(2)奥歯を後方に移動させる、(3)歯を少し削って幅を狭くする(ディスキング)、などの方法でスペースを確保します。
抜歯・非抜歯のどちらが適しているかは、精密検査を行って判断します。それぞれのメリット・デメリットを説明した上で、患者さまと相談して決定します。抜歯することに抵抗がある方も多いですが、抜歯することでより美しい歯並びと口元が得られる場合もあります。
ブラケットが外れた場合はどうすればよいですか?
すぐにクリニックに連絡してください。応急処置の方法をお伝えし、早期に再装着いたします。
ワイヤー矯正では、硬い食べ物を噛んだり、装置に強い力がかかったりすると、ブラケットが歯から外れることがあります。ブラケットが外れた場合、その歯には矯正力がかからなくなり、治療が進まなくなります。そのため、できるだけ早くクリニックに連絡することが重要です。
ブラケットが外れた時の対応としては、(1)すぐにクリニックに電話して状況を説明する、(2)外れたブラケットがワイヤーに引っかかっている場合は、そのままにしておく、(3)完全に外れた場合は、ティッシュなどに包んで保管し、来院時に持参する、(4)痛みや違和感がある場合は、矯正用ワックスで保護する、などがあります。
ブラケットの再装着は、通常10~15分程度で完了します。外れてから時間が経つと、歯が動いてしまい再装着が難しくなることがあるため、早めの来院が望ましいです。次回の予約日まで待たず、できるだけ早く来院してください。
ブラケットが外れるのを防ぐために、硬い食べ物や粘着性の高い食べ物を避け、歯磨きの際にも装置に強い力をかけないように注意してください。
ワイヤーが刺さって痛い場合はどうすればいいですか?
矯正用ワックスを患部に付けて応急処置し、早めに来院してください。ワイヤーをカットまたは曲げて対応します。
ワイヤー矯正では、歯が動くことでワイヤーの端が後方に飛び出してきたり、ワイヤーが曲がって頬や舌に刺さったりすることがあります。ワイヤーが刺さると、痛みや口内炎の原因になります。
応急処置としては、矯正用ワックス(クリニックでお渡しする柔らかい粘土状のもの)を、刺さっているワイヤーの先端に丸めて貼り付けます。これにより、ワイヤーが粘膜に直接当たるのを防ぎ、痛みを軽減できます。ワックスは食事の時に外れることがありますが、何度でも貼り直すことができます。
ただし、ワックスはあくまで応急処置ですので、できるだけ早くクリニックに来院してください。来院時に、飛び出したワイヤーをカットしたり、曲げて収めたりすることで、根本的に解決できます。処置は数分で完了します。
もし、ワイヤーが大きく飛び出して口を閉じられないほどの場合や、激しい痛みがある場合は、緊急で対応しますので、すぐに連絡してください。夜間や休日の場合は、留守番電話にメッセージを残していただくか、緊急連絡先に連絡してください。
顎間ゴム(ゴムかけ)を忘れたらどうなりますか?
治療期間の延長や治療結果に影響するため、必ず指示通りに使用してください。患者さまの協力が治療成功の鍵です。
顎間ゴム(エラスティックとも呼ばれる)は、上下の歯に装着したフックの間にかけるゴムで、上下の噛み合わせを改善するために使用します。例えば、出っ歯を治す場合は、上顎の奥歯と下顎の前歯の間にゴムをかけて、下顎を前方に誘導したり、上の前歯を後方に引っ込めたりします。
顎間ゴムは、通常1日20~24時間使用し、食事と歯磨きの時だけ外します。ゴムは8~12時間で弾力が弱くなるため、毎日新しいゴムに交換する必要があります。使用時間が短かったり、付け忘れたりすると、(1)治療期間が延びる、(2)予定通りの治療結果が得られない、(3)噛み合わせが改善しない、などの問題が生じます。
顎間ゴムの効果は、使用時間に比例します。「1日忘れると、3日分後戻りする」と言われるほど、継続的な使用が重要です。面倒に感じるかもしれませんが、治療を成功させるために最も重要な患者さまの協力事項です。
ゴムをかける位置や使用時間については、担当医から詳しい指示がありますので、必ず守ってください。ゴムが切れたり、使い方がわからなくなったりした場合は、すぐにクリニックに連絡してください。
海外旅行中にワイヤー矯正のトラブルがあったらどうすればいいですか?
必要に応じて現地の矯正歯科医を紹介いたします。海外旅行の前に事前にご相談ください。
長期の海外旅行や留学、出張などの予定がある場合は、事前に担当医に相談することをおすすめします。旅行前に、(1)装置の状態をチェックする、(2)飛び出しそうなワイヤーを事前にカットする、(3)矯正用ワックスを多めにお渡しする、(4)緊急時の対応方法を説明する、などの準備を行います。
海外でトラブルが発生した場合は、まずクリニックにメールまたは電話で連絡してください。可能であれば写真を撮って送っていただくと、状況を把握しやすくなります。応急処置の方法をアドバイスし、必要に応じて現地の矯正歯科医を紹介します。国際的な矯正歯科医のネットワークがあるため、多くの国で対応可能です。
ただし、海外での治療は言語の問題や治療費の問題(海外旅行保険が適用されない場合がある)があるため、できるだけ日本に帰国してから治療を受けることをおすすめします。軽度のトラブル(ワックスで対応できる程度)であれば、帰国まで様子を見ることも可能です。
長期滞在の場合は、滞在先で矯正治療を継続できるよう、治療データ(レントゲン、歯型、治療計画など)を提供することもできます。海外での治療については、計画段階から相談してください。
医師からのコメント
ワイヤー矯正は、100年以上の歴史を持つ最も信頼性の高い矯正治療法です。
マウスピース矯正などの新しい治療法が登場していますが、複雑で重度な症例への対応力では、今でもワイヤー矯正が最も優れています。 特に抜歯を伴う症例や骨格的な問題がある症例では、ワイヤー矯正でなければ理想的な結果を得ることは困難です。
確かに装置が目立つ、痛みがあるなどのデメリットはありますが、それを上回る確実性と治療効果があります。
近年はセラミックブラケットやセルフライゲーションシステムにより、審美性と快適性も大幅に向上しています。
当院では患者さまの症例に応じて最適なワイヤーシステムを選択し、最高の治療結果を目指します。
美しい歯並びと正しい咬み合わせを確実に獲得したい方には、ワイヤー矯正を自信を持ってお勧めいたします。
