口臭と虫歯や歯周病の関係 | 新宿の矯正歯科

口臭と虫歯や歯周病の関係

最終更新日2024.8.23(公開日:2023.12.01)
監修者:日本矯正歯科学会認定医 院長 宮島 桜

それぞれの関係について

自分の口臭が気になっていませんか?口臭が気になって人の近くで話せないという人もいるかもしれません。
口臭が気になると日常生活に支障が出てしまう場合もあるので、口臭の原因を知って正しいケアをすることが重要です。

口臭とは

口臭とは、口から出される息のニオイの総称です。一般的には、口臭というと息のニオイが不快で強い場合を指します。

口臭の種類

実は、口臭は、大きく分けると3種類あります。
生理的口臭

生理的口臭は、臭うこと自体が正常な口臭です。例えば、朝起きたときに口臭が強く感じられた経験ありませんか。
この口臭は、寝ている間、唾液の量が減り、お口の中で細菌が増えることで起こります。生じてもおかしくない口臭なので正常というわけです。

ニンニクやネギなどが多いですが食事の後の口臭、アルコールを飲んだ後の口臭もそうです。
ただし、食後や飲酒後の口臭などは、外因性口臭として、生理的口臭に含めない分類方法もあります。
生理的口臭は、1日の間でも臭いやすい時間帯、臭わない時間帯など波があるのが特徴です。

病的口臭

病的口臭は、病気によって引き起こされる口臭です。病的口臭は、原因となる病気ごとに匂い方に違いがあるのが特徴です。
最も多いとされているのが、歯周病や虫歯などの歯やお口の病気です。この他、胃腸の病気、鼻や喉の病気、糖尿病などの全身的な病気も口臭の原因となり得ます。

心因性の口臭

心因性の口臭は、本当は口臭なんてないのに、自分自身で口臭を出していると思い込んでしまう口臭です。
自ら臭っていると思い込むという意味から、自臭症という言い方もされます。

口臭は何から生じるニオイ?

口臭の多くは、お口の表面を覆う粘膜が古くなり剥がれ落ちたものや、食べ物に含まれるタンパク質などをお口の中の細菌が分解して発酵することで生じるガスから生じます。ガスの種類によって口臭の臭い方に違いがあります。口臭の元となるガスをのうち、代表的なものを5つ紹介します。

硫化水素

硫化水素は、タマゴが腐ったときのようなニオイを発する物質です。
よく硫黄のニオイと言われますが、硫黄自体はそのようなニオイを発することはないので、硫黄のニオイではありません。

メチルメルカプタン

メチルメルカプタンは、腐った玉ねぎのようなニオイを発する物質です。
口臭の強い人はメチルメルカプタンが多い傾向があるので、口臭の強さに強く関係していると考えられています。

ジメチルサルファイド

ジメチルサルファイドは、キャベツが腐ったようなニオイを発する物質です。

アセトン

アセトンは、りんごが腐ったときのような甘酸っぱいニオイを発する物質です。
身近なところでは、アセトンは除光液として使われていますので、そのニオイがアセトン臭です。

アミン

アミンは、腐った魚のようなニオイ、もしくはアンモニアのようなニオイを発する物質です。

口臭の原因は?

口臭と一言でいっても、口臭を引き起こす原因は実に多様です。
大きく分けると歯科的な原因と全身的な原因に分けられます。

歯科的原因

口臭の原因のうち、80%以上を占めるとされているのが、歯科的な原因です。

①歯周病

口臭の歯科的な原因のうち、最も多いのが、歯周病といわれています。歯周病は、歯肉や歯槽骨などの歯を支える組織、歯周組織の病気です。かつては「歯槽膿漏」とも呼ばれていました。歯周病になると歯と歯肉の間に隙間ができます。この隙間を歯周ポケットといいます。

歯周ポケットは歯周病の進行とともに少しずつ深くなっていきます。
深くなった歯周ポケットの中は歯ブラシが届きませんので、ここに細菌と代謝物、タンパク質があつまった「プラーク」と呼ばれるものが蓄積します。
歯の表面を擦ってみてください。白いカスのようなものがついてくるかもしれません。この白いカスこそがプラークです。
このような白いカスが、歯周ポケットの中で増えると考えてください。

プラークが溜まるということは、細菌が増殖しているということです。
この増えた細菌が悪臭を発生させます。さらにこの状態を放置すると炎症が進みます。膿も溜まってさらに強い臭いを放つようになるのです。
初期の歯周病は気づきにくい上に、また虫歯のような痛みもないので放置してしまいやすいのですが、これこそが口臭の原因となっているのです。

また日本人の成人のうち8割近くの方が歯周病だとも言われています。大人の口臭の原因として歯周病が最も多いとされているのも、これが理由です。
口臭が気になるようなら一度、歯科に相談してみることをおすすめいたします。

②虫歯

虫歯ができやすい人は基本的に歯磨きの習慣がない、歯磨きが上手にできていないことが多いです。
また、虫歯になると歯の表面に穴が開きますが、この部分は歯ブラシが入りにくいので、磨き残しができやすいです。虫歯が進行して深くなるとなおさらです。

このため、虫歯になっている人、虫歯になりやすい人、ともに歯の表面にプラークが溜まりやすくなっています。
歯周病のところでもお話しした通り、プラークの正体は細菌の塊です。
歯の表面にプラークがあるということは、ここに細菌が集まっているということです。

歯の表面に溜まったプラークから悪臭が放たれるというわけです。
また、虫歯が深くなり、歯の中の神経の部分にまで達してしまうと、歯の神経の部分が腐ってきます。すると今度は、腐ったニオイが生じるようになります。しかも歯の神経が腐ると、歯肉が化膿して腫れることがあります。

腫れた歯肉の中には膿が溜まり、膿があふれるようになると、今度は膿のニオイも出始めます。
腐ったニオイも膿んだニオイも、どちらも嫌なニオイです。虫歯に原因のある口臭は、このようにして生じます。

③舌苔

絶対は、舌の表面についた白い苔のような付着物です。抗菌薬を長期にわたって使っている人の場合、黒色をしていることもあります。舌苔は、体調によって多くなったり少なくなったりします。

舌苔の中には、口臭の元となるタンパク質やそれを餌とする細菌がたくさんいます。
舌苔そのものはある程度あるのが正常なので、健康な人にもあるものなのですが、体調が悪くなったり、胃腸の具合が悪くなったりすると、舌苔の量は増えます。舌苔が増えると、タンパク質や細菌が増えるようになるので、こちらもやはり口臭の原因となります。

④口腔乾燥症

口腔乾燥症は、唾液の量が減り、お口の中が乾きやすくなる病気です。
加齢に伴って唾液の量が減ることもあれば、薬の副作用で減ることもあります。
シェーグレン症候群など病気で唾液が出にくくなるケースもあります。
唾液には、細菌の活動を抑える抗菌作用、汚れを洗い流す洗浄作用など口臭のニオイの元となる細菌に抵抗する働きがあります。
口腔乾燥症になると唾液の量が減りますので、ニオイを抑えづらくなり、口臭が出ます。

⑤入れ歯

入れ歯は、歯が全くない総入れ歯と歯が残っている部分入れ歯に分けられます。
どちらも、人工歯の下にピンク色の部分がありますが、このピンク色のところはプラスチックです。
プラスチックは、お口の中の汚れが染み込みやすく、使い続けているうちに、ニオイを発するようになります。
しかも染み込んだニオイなのでなかなか取れません。

⑥合いの悪い詰め物や被せ物

現在の歯科治療では、虫歯になったり、ケガで欠けたりしたところを人工物で治す詰め物治療や被せ物治療が行われています。
詰め物や被せ物が古くなり、縁が合わなくなったり、隙間が空いたりすると、そこは歯ブラシが入りにくいのでプラークの温床になります。
そして、ニオイが生じます。合い具合の悪くなった詰め物や被せ物も、口臭の原因となるというわけです。

⑦がん

お口の中にもがんは生じます。よく知られているのは、舌がんですが、この他にも歯肉がん、頬粘膜がん、口唇がんなどたくさんあります。
がんができると、がんの中央部分が次第に腐ってきます。このため、がん独特のニオイを放つようになり、口臭が起こります。

全身的原因

①内科的な病気

口臭の原因となりやすい内科的な病気としては、糖尿病、腎臓病、胃腸炎などがあります。
糖尿病では、アセトン臭という独特のニオイがします。腎臓病では、アミン臭です。
内科的な病気に原因のある口臭は、口臭の症状も独特なのでわかりやすいです。
こうしたニオイがある場合は、内科で一度診てもらうことをおすすめします。

②耳鼻科的な病気

耳鼻科的な病気としては、蓄膿症(副鼻腔炎、上顎洞炎ともいいます)、咽頭炎、喉頭炎などの鼻からのどのあたりの炎症性の病気が口臭に関係しています。
こうしたところに炎症性の病気が生じると、膿がまったり、腫れて血が出たりするので、口臭が出るようになります。

③ストレス

緊張したときにお口が乾いた経験ありませんか。緊張状態に入ると二つある自律神経のうち、交感神経が優位になり、アドレナリンが出ます。アドレナリンが出ると、唾液の量が減ります。緊張状態とは、ストレスが強くなった状態です。

ストレスを感じている人、ストレスを感じやすい人は、唾液が減るので、口臭が出ます。
逆に、リラックスしていると副交感神経が優位となり唾液の量が増えるので、口臭は減ります。

④ホルモンの変化

妊娠中や更年期など、特に女性ホルモンの量が変化するのに連動して、口臭も強くなったり弱くなったりする傾向があります。

まとめ

今回は、口臭について解説しました。口臭には生理的口臭や病的口臭、心理的口臭などがあります。
このうち、治療の対象となるのは、何らかの病気によって引き起こされる口臭、病的口臭です。
病的口臭を治すには原因に対する治療が必要ですが、その原因となりうる病気の種類はとても多く、一言で言い表せないほどです。

しかし、その80%以上は歯周病といわれています。虫歯も合わせると、口臭の原因の90%以上が歯周病や虫歯など歯の病気になります。
口臭が気になっている人は、まずは歯科医院で、歯周病や虫歯などの歯の病気があるかどうかをチェックしてもらいましょう。

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